クロス補聴システムとは?特徴やメリットについて解説
ファミリー補聴器店長の吉野です。クロス補聴システムは、一側聾や一側性難聴に対応した補聴機器です。一般的な補聴器と異なる部分が多く、使用する際には仕組みを理解しておく必要があります。
クロス補聴システムは補聴器と併用して使います。
クロス補聴システムは聞こえない方の耳に装着し、聞こえる耳につけた補聴器に音を送信します。片耳がまったく聞こえなくても、クロス補聴システムを使えば聞こえを補えるためとても便利です。
今回は、クロス補聴システムのメリット・デメリット、選ぶポイントについて解説します。クロス補聴器の購入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
クロス補聴システムと一般的な補聴器の違い
クロス補聴システムは一般的な補聴器と違い、片耳がまったく聞こえない場合(聾・失聴もしくは高度・重度難聴)に使用できる補聴機器です。聞こえない側の耳には送信機としてクロス補聴システム、聞こえる耳(健聴もしくは難聴)には受信機として普通の補聴器を装着します。
聞こえない方向からの音を、聞こえる耳へ送信して聞くことができる点が最大のメリットです。
クロス補聴システムのメリット
クロス補聴システムを使用するメリットは、主に次の3つです。
- 複数人での会話がしやすくなる
- 危険を察知・回避ができる
- 片耳でも聞こえのストレスが減る
この章では、それぞれのメリットについて解説します。
複数人での会話がしやすくなる
片耳では難しかった複数人での会話が、クロス補聴システムをつけると聞き取りやすくなります。クロス補聴システムを使用することにより集音の範囲が広くなるため、会議などの複数人で話す場で会話が聞き取りやすくなります。
ただし、話している周辺環境で騒音が多いときには、声が聞き取りにくくなる場合もあります。
危険を察知・回避ができる
外を歩いているとき、クロス補聴システムをつけていれば車や自転車などの音を察知して危険を回避できます。日常生活ではもちろん、旅行で慣れない土地に行く際にも必要な機能です。特に視覚に頼りにくい夜間に出歩く場合は、クロス補聴システムの集音機能がとても役に立ちます。
クロス補聴システムが騒音や危険な音を敏感に感知するので、外出時も安心して移動が可能です。
クロス補聴システムのデメリット
クロス補聴システムを使用するデメリットは、主に次の2つです。
- バッテリーの減りが早い
- 費用がかかる
メリットとデメリットの両者を把握して、クロス補聴システムの使用を検討しましょう。この章では、それぞれのデメリットについて解説します。
バッテリーの減りが早い
クロス補聴システムは、音を送信する性能上バッテリーの負担が大きい点がデメリットです。電池の消費が多いため、多めに予備の補聴器の電池を用意する必要があります。特に長時間の外出の際には、電池の残量に注意することが大切です。
充電式のクロス補聴システムであれば、外出前に自宅で充電ができます。仕事や長時間の外出に、不安があればそちらを選択しましょう。
費用がかかる
クロス補聴システムは補聴器と併用して使用するため、片耳のみに補聴器を使用する場合よりも費用が掛かります。また、一般的な補聴器と違って課税されるため、自己負担が大きくなります。クロス補聴システム本体の購入費用は10万円~20万円ほどですが、さらに補聴器の代金が必要となります。
クロス補聴システムを購入したあとも、定期メンテナンスや本体の修理などで別途費用がかかる場合があります。価格や補聴器の特徴をよく確認して、無理のないようにクロス補聴システムを選びましょう。
クロス補聴システムの選び方
クロス補聴システムを選ぶポイントは、次の2つです。
- 実際に聴き比べをしてみる
- アフターサービスを確認する
実際に購入する際には、この2点を意識して製品を選びましょう。この章では、それぞれのポイントについて解説します。
実際に聴き比べをする
補聴器専門店で、補聴器の貸出試聴サービスを実施しているお店もあります。一度レンタルして日常生活を送ることで、クロス補聴システムのサポート機能が自分に合っているかを確認できます。
初めてクロス補聴システムを使う方は、試聴できるお店を見つけて、クロス補聴システムを試して自分に合うか確かめてから購入を検討しましょう。
保証期間やアフターサービスを確認する
クロス補聴システムは、破損や故障による修理、定期メンテナンスをするのに費用がかかります。事前に保証期間やアフターサービスを確認して、しっかりとサポートしてくれるか把握しておくのが大切です。
補聴器専門店であれば、アフターサービスを明確化しています。サービス内容を確認して、必要があれば対応してもらえるか問い合わせましょう。
自分に合ったクロス補聴器を選びましょう
クロス補聴システムは、聞こえない耳から聞こえる耳へと音を送信して、快適な聞こえをサポートする補聴機器です。便利な反面、価格の高さやバッテリーの減りの早さなどのデメリットもあります。
最近のクロス補聴システムは多様化しており、各種機能も進歩しています。補聴器専門医や専門店の店員などと相談しながら、自分に合ったクロス補聴システムを探しましょう。
【Q&A】
Q1.クロス補聴システムは一側性難聴でも使用できますか?
A1.一側性難聴にも対応します。ただし、補聴器の使用が有効な場合は、クロス補聴システムではなく補聴器の使用が推奨されます。
Q2.クロス補聴システムのメンテナンスはどうすればいいですか?
A2.クロス補聴システムを購入した補聴器専門店にメンテナンスを依頼します。メンテナンス費用は、都度確認が必要です。