補聴器は電池式を長く使う方が良い?補聴器の電池式と充電式を徹底比較
電池式補聴器を使っていて、このまま電池式を使い続けた方がいいのか悩んでいませんか。近年補聴器は充電式タイプが増えています。
この記事では電池式と充電式の補聴器について、次の4つのポイントをご説明します。
- 電池式補聴器の特徴
- 充電式補聴器との比較
- 電池式補聴器を使用するうえでの注意点
- 補聴器を長持ちさせる方法
電池式と充電式、どちらの補聴器が自分に合っているか確認できますよ。
Contents
補聴器は電池式と充電式がある
補聴器を使用するには電力が必要であり、補聴器は電池式と充電式に分けられます。電池式補聴器は空気亜鉛電池、近年増えている充電式補聴器にはリチウムイオン充電池が使われています。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを確認しましょう。
空気亜鉛電池で動く電池式補聴器
ポケット型を除く電池式補聴器の多くには、空気亜鉛電池とよばれるボタン電池が使用されています。空気亜鉛電池にはシールが貼ってあり、シールをはがすと電池の成分の亜鉛と空気の酸素が反応を起こし電気を作り出します。
シールをはがしてしまうと、使用しなくても放電してしまう点がデメリットです。
空気亜鉛電池は4種類あり、それぞれ大きさが異なるため自分の補聴器がどの電池を使用するか確認が必要です。補聴器の種類や使用状況によって電池の寿命は変わります。
【電池式】空気亜鉛電池の種類
空気亜鉛電池は、補聴器によって使用できる種類が異なります。電池の種類は次の4つです。
空気亜鉛電池の種類
名称 | シール | サイズ | 主に使用される 補聴器の種類 |
10A(PR536) | 黄色 | 5.8×3.6mm | 耳あな型 |
312(PR41) | 茶色 | 7.9×3.6mm | 耳あな型 マイクロサイズ 耳かけ型 |
13(PR48) | オレンジ色 | 7.9×5.4mm | 耳あな型 ミニサイズ 耳かけ型 |
675(PR44) | 青色 | 11.6×5.4mm | フルサイズ耳かけ型 |
電池式補聴器を使用する場合は、どの電池が該当するか事前に確認しましょう。
【電池式】メリットとデメリット
電池式補聴器の最大のメリットは経済性です。充電式の充電池と電池式の空気電池をそれぞれ使い続けた場合、電池式の方がコストを大きく抑えられます。
デメリットは、電池交換を数日ごとに行う必要がある点です。電池はかなり小さいので、目が悪い方や年配の方は交換を煩わしく感じるかもしれません。
また、補聴器用の空気亜鉛電池は、多くの自治体でゴミ回収の対象外です。使い終わった電池は一粒ずつセロテープなどで絶縁し、電池の販売店に処分を依頼する必要があります。ファミリー補聴器でも使用済み電池の回収を承っており、電池工業会を通して廃棄処分を行っております。
リチウムイオン電池で動く充電式補聴器
充電式補聴器は、現在ほとんどのメーカーがリチウムイオン充電池を使用しています。充電は補聴器を充電器に置くだけで行うことができます。
小さな容量に多くの電気を充電できる点が特徴です。充電式補聴器は充電して3〜6時間ほどでフル充電されます。また、電池の交換は数年間不要です。
【充電式】メリットとデメリット
充電式補聴器のメリットは、短時間の充電で半日以上の使用が可能な点です。また、自身での電池交換が不要で充電器に置くだけで充電できるので、操作が簡単な点もメリットになります。
充電式補聴器に使われるリチウムイオン充電池は、およそ1000回充電できるとされているため、およそ3年程度は充電池の交換が不要です。
デメリットは、自身でリチウムイオン充電池を交換できないことです。2023年4月時点で発売中のほとんどの充電式補聴器は、リチウムイオン充電池が補聴器の本体に組み込まれています。
補聴器を分解して部品交換を行うには専門の設備と資格が必要であるため、充電池の交換は補聴器販売店を通してメーカーに依頼する必要があります。充電池の交換には部品代と技術料を合わせて1台につき2〜4万円程度の出費が必要です。
電池式と充電式の補聴器を比較
電池式と充電式補聴器の特徴・商品例を以下でまとめました。
電池式補聴器と充電式補聴器の比較
種類 | 特徴 | 商品例 |
電池式補聴器 | ・空気亜鉛電池が動力コストを抑えられる ・補聴器によって電池の大きさが異なる ・電池交換が必要で、ゴミ回収に注意が必要 | Intuis4 SP メーカー:シグニア 特徴:電池寿命が長く最大285時間使用可能 own IIC メーカー:オーティコン 特徴:最小サイズの電池を使用する超小型補聴器 |
充電式補聴器 | ・リチウムイオン電池が動力 ・短時間の充電で半日以上使用できる ・電池の交換なしに3年程度利用できる ・充電池を交換する場合、2〜4万程度かかる | Audeo LIFE メーカー:フォナック 特徴:充電池を内蔵することで補聴器本体の密閉性を高めた、IP68等級の防水補聴器 Stella BI core メーカー:コルチトーン 特徴:補聴器・充電器とも小型であり、充電器にも蓄電バッテリーを搭載している。携帯性に優れた耳かけ型補聴器 |
補聴器によって、電池式か充電式かが異なります。電池交換が気になる方は、購入前に相談したうえで自分に合う補聴器を選びましょう。
補聴器を使用する際の注意点
多くの補聴器は湿気や水分を嫌うので、使用しない際は乾燥ケースに入れましょう。充電式補聴器の中には、充電しながら補聴器の除菌や乾燥が可能なものもあります。
電池式補聴器の電池は非常に小さいので、使用前の電池をバラバラにしないようにし、誤飲につながらないよう注意しましょう。
補聴器を長持ちさせるには
補聴器の耐久性は5年間と言われていますが、それ以上使用されている方もいます。適切な場所で保管、定期的なメンテナンスを行うことで長く使用可能です。
電池式と充電式の補聴器、それぞれを長持ちさせるコツを確認しましょう。
電池式補聴器を長持ちさせるには
電池式補聴器を使う際、空気亜鉛電池の寿命を長持ちさせるポイントは4点あります。
- 電池を極端に冷えた状態で使用しない
- 二酸化炭素が多く発生している場所を避ける
- 乾燥に注意する
- ワイヤレス機能の使用を控える
空気亜鉛電池は環境や温度差で寿命が変化するので、取り扱いには注意しましょう。
充電式の補聴器を長く使うコツ
充電式補聴器を長持ちさせるポイントは3点あります。
- 2~3年おきにリチウムイオン充電池の交換を行う
- 充電切れの状態で補聴器を長期間放置しない
- 推奨使用温度よりも寒い環境および暑い環境での使用を避ける
使用しないまま充電式補聴器を放置するのも、寿命を短くする原因となります。電池式と同様、充電式も環境や温度差に注意が必要です。
電池式と充電式の補聴器、どちらを選べばよいか
電池式補聴器と充電式補聴器はそれぞれ特徴がありました。自分に合っているタイプはどちらの補聴器でしょうか?
電池式補聴器・充電式補聴器が向いている方の特徴を見ていきましょう。
電池式は費用を抑えられる
補聴器の維持費を抑えたいと考えている方は電池式がよいでしょう。加えて、電池の定期的な交換や購入を苦に感じない方だとよいかもしれません。
補聴器の電池は小さいので、物をなくしやすい方は保管に注意が必要です。
充電式は日常的な電池の交換が必要ない
年配の方で細かい作業が苦手な方・電池交換が煩わしいと感じる方は充電式が向いているでしょう。
充電式補聴器は電池式補聴器と比べると高価な場合がほとんどです。さらに数年おきにリチウムイオン充電池の交換が必要となるため、中長期的な出費が大きくなることに注意しましょう。
自分に合う補聴器を見極めよう
補聴器の電池式と充電式の特徴・メリット・デメリットをお伝えしました。電池式のほとんどは空気亜鉛電池を使用していて、補聴器に合った電池を選ぶ必要があります。電池式補聴器のメリットは経済性ですが、電池交換をわずらわしく感じる方もいるかもしれません。
充電式補聴器はリチウムイオン充電池で動き、充電器に置くだけで長時間の使用が可能です。しかし、使い方によっては充電が1日持たない場合があり、故障にも気づきにくい可能性があります。
電池式・充電式の特徴を踏まえたうえで、自分に合う補聴器を検討しましょう。補聴器購入は医師の診察のうえ、詳しい知識を備えた認定補聴器専門店をご検討ください。
<Q&A>
Q:電池式補聴器は、空気亜鉛電池の代わりにアルカリボタン電池を使用できますか?
A:アルカリボタン電池は空気亜鉛電池の代替とはなり得ません。アルカリボタン電池は使用するごとに電圧が低下していくため、補聴器の使用には適していません。空気亜鉛電池は電圧を一定に保つ特徴があるため、補聴器の使用に適しています。
Q:空気亜鉛電池の価格はどれくらいですか?
A:家電量販店やドラッグストアなどでは1シート(6粒入り)が800円〜1200円程度で売られている状況が多いようです。ファミリー補聴器では1シート(6粒入り)を650円で販売しております。