コラム
補聴器について

人工内耳と補聴器の違いは手術だけ?それぞれのメリット・デメリットとは

ファミリー補聴器店長の吉野です。人工内耳と補聴器の違いはご存じでしょうか?人工内耳は手術で通常通り聞こえるようになる事ではありません。

この記事では人工内耳の詳細から、人工内耳と補聴器の違い、それぞれのメリット・デメリットをご説明します。記事を読めば、自分には人工内耳が合うか、補聴器のままがいいかの判断材料になりますのでぜひご覧ください。

人工内耳とは

人工内耳は、耳の神経を刺激して聴力を改善する人工臓器です。補聴器では効果が感じられない方にとって、聴覚を取り入れる可能性のある方法です。

耳に機械を埋め込む手術を必要とし、人工内耳の効果には個人差があります。手術をすれば、すぐに聞こえるようになるわけではありません。

人工内耳で初めて聞く音は、個人差がありますが機械で合成された音のように聞こえます。手術後にしっかりリハビリを行い、少しずつ音や言葉の聞き取りが可能になります。

人工内耳が必要な方

人工内耳を必要とするのは、補聴器を利用しても効果が得られない高度難聴・重度難聴の方です。人工内耳の手術を行う基準として、聴力レベルなど医学的条件や必要条項が定められており、医師の勧めと事前検査のうえで手術が行われます。

また、成人と小児の場合でも基準が異なり、小児の場合は1歳以上(体重8kg以上)で、家族や療育機関の支援体制が整っていることを前提とします。2017年の基準改定により、成人・小児に関係なく両耳装用も適応基準となりました。

人工内耳を装用するまでの一連の流れ

人工内耳の適用基準に該当する場合、聴覚・画像検査を実施して手術を行います。全身麻酔で耳の奥に電極を挿入し、縫合する手術は数時間で終了します。

機械の故障などが起きない限り再手術は不要で、実質負担金額は10〜20万程です。手術後にマッピングとよばれる人工内耳の調整と、音の聞き取り訓練を行い人工内耳に慣れていきます。人工内耳の刺激での音や言葉を学習する時間、聞こえの回復には個人差があります。

人工内耳の効果

人工内耳が適応されるのは補聴器の装用効果がほとんどない方です。年齢や失聴期間、リハビリにより個人差はありますが、手術を受けると筆談しなくても1対1で会話ができる、静かな場所で聞き取りができるといった効果が期待されます。電話が可能になり、音楽を楽しめる方もいるそうです。

人工内耳と補聴器のメリット

人工内耳は補聴器で聞こえない音が聴こえるようになります。また、人工内耳は両耳に装用するのが基本です。両耳に装用していれば、片方の調子が悪くても全く聞こえない状態にはなりません。補聴器では対応しきれない聴力でも聴覚補償が見込まれます。また、健康保険が適用されます。

それに対し、補聴器は手術を受ける必要がありません。人工内耳同様に補聴器も両耳に装用することが一般的ですが、片耳のみに装用することも可能です。また補聴器はさまざまな種類から自分に合ったものを選べます。

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人工内耳と補聴器のデメリット

人工内耳と補聴器の共通のデメリットは、湿度に弱い点です。

人工内耳は手術を行い、後遺症や合併症をともなう可能性があります。手術後はリハビリ期間があり、音が聞こえを理解できるまでには個人差があります。機械が故障すると再手術が必要となるため、人工内耳を装用している方は行動する際に注意が必要です。例えば頭のケガで衝撃が加われば故障のリスクが発生したり、MRIの強い磁気で故障したりする場合もあります。

補聴器は、難聴が進行すると対応できない場合があります。高度難聴・重度難聴の場合は障害者手帳を取得することで交付を受けられますが、軽度難聴や中等度難聴の場合は自費購入が原則となるため費用負担がデメリットです。

人工内耳をつける際の注意点

人工内耳をつける場合3つの注意点が挙げられます。

  • 手術後の合併症の可能性
  • 機械の故障の可能性
  • 手術後にリハビリが必要

先ほどもお伝えしましたが、手術後に合併症がともなう可能性があります。耳鳴り・めまい・顔面神経麻痺など個人差があります。

人工内耳は機械であり、故障する場合があるため運動の際は、頭部をぶつけないようにしましょう。MRI検査も強い磁気が発生するため、注意が必要です。

人工内耳は手術後にリハビリが必要であり、音の聞こえ方に最初は違和感を覚えるかもしれません。

人工内耳か補聴器かを悩んだら、医師に相談しましょう

人工内耳は耳の神経を刺激し聴力を改善させる人工臓器で、人工内耳で聴力が治療されるわけではありません。重度の難聴者に対し、医師から勧められる場合があります。

装用の手術をするまでに検査が必要で手術後にリハビリをおこないますが、合併症や後遺症が残る可能性があります。補聴器は人工内耳と比べて高価なものが多いですが、人工内耳は助成金が出るため実質負担額は抑えることが可能です。

補聴器・人工内耳はそれぞれメリット・デメリットがありますが自分の聴力に合う方法を医師と相談しましょう。

[Q&A]

Q.人工内耳を医師から勧められたが、自分に合うのかわかりません。

A.難聴が重度な場合や医師から勧められた場合、検査を進めるとともに気になった点は細かいことでも医師に確認しましょう。人工内耳の手術は後遺症の可能性があるため、軽度難聴や聴力が残っている場合は補聴器の使用が勧められます。

Q.高齢のため手術はしたくありません。難聴が進行しても補聴器のままで大丈夫でしょうか?

A.少しでも聴力がある場合は、補聴器でも対応可能な場合があります。また、手話を覚えることでコミュニケーションの手段を確保する選択肢もあります。まずは医師に相談しましょう。