音響のよい補聴器は?購入の手順と調整の大切さを紹介
ファミリー補聴器店長の吉野です。今回は音響のよい補聴器を使用したい方へ、音の聞こえる仕組みや補聴器の機能、調節やメンテナンスの大切さを紹介します。
補聴器を購入する流れも紹介するため、利用を検討している方はぜひご参考にしてください。
音響を脳が認識する仕組み
音は外耳から中耳・内耳を通って脳に伝わります。
外耳で音の振動を拾って鼓膜で増幅させ、内耳で電気信号へと変換します。音の電気信号が聴神経を通って脳に伝わり、脳が音を認識する仕組みです。
補聴器はおもにマイクとアンプ、レシーバーで構成されます。耳の外耳・中耳と同じように、受け取った音の振動を増幅させる働きを担います。
難聴はどのような状態?
難聴は耳の疾患のほか、ストレスや生活習慣病、加齢によって起こります。
低下している機能によって伝音難聴と感音難聴に分けられ、どちらもみられる場合は混合難聴とよばれます。伝音難聴は外耳や中耳の異常により聞こえに影響を及ぼしている状態で、感音難聴は内耳の不調が原因です。聴器の効果が出やすいのは伝音難聴といわれます。
難聴が軽度であるときから補聴器を利用することで、コミュニケーションや認知機能の維持につながります。
補聴器の機能を紹介
聞きやすさを改善させるための補聴器の機能を紹介します。
- ハウリング防止
- 騒音抑制機能
- 音空間認知機能
以下、詳しく解説します。補聴器を選ぶときは、搭載機能についても確認しましょう。
➀ハウリング防止機能
ハウリングは補聴器で拡大した音が外に漏れ、再びマイクが拾ったときに起こる不快音です。補聴器のハウリング防止機能は、次の技術を組み合わせてピーピー音を抑えています。
- 特定の周波数の音に関して出力を小さくする
- ハウリングと反対の音を出して音を打ち消す
- ハウリングが発生する周波数をずらす
ハウリング防止機能の付いた補聴器を選ぶほか、補聴器が耳の形に合っているか、補聴器と耳の間に隙間がないかを確認することが大切です。
➁騒音抑制機能
騒音抑制機能は、雑音等を低減して聞きたい音声を自動で選択してくれる機能です。エアコンや冷蔵庫の稼働音、電車の走行音など、一定の大きさで長く続く音を耳に入りにくくしたり、人の声に集音の指向性を向けたり働きかけます。
周囲の状況に合わせて自動調節してくれるため、まわりの方とのコミュニケーションが取りやすくなり、外出時の安心にもつながります。
③音空間認知機能
左右の補聴器が通信し合い、まわりの音を分析し音質を調整する機能です。音が聞こえる方向を判別しやすくなり、話している方の位置を捉えやすくなるため、集中して会話ができます。
よい音には補聴器の調整が大切
聞こえをよくするには、補聴器の調整と定期的なメンテナンスが必要です。
一般的に調整とメンテナンスは購入した店舗で行うため、販売店選びも大切です。補聴器の購入には認定補聴器技能者が在籍する補聴器店や認定補聴器専門店を選びましょう。
ここでは認定補聴器専門店と、認定補聴器技能者について詳しく解説します。
認定補聴器専門店を選ぶ
認定補聴器専門店は、認定補聴器技能者が在籍しており、公益財団法人テクノエイド協会の審査を通った販売店です。補聴器の購入や調整に必要な測定設備が整っており、購入後も適切なフォローが受けられます。
補聴器を効果的に活用するには、認定補聴器専門店での購入が推奨されます。
認定補聴器技能者に相談する
認定補聴器技能者は、補聴器に関して高い知識や技能を持っていると認められる資格です。取得するためには4年間の講習と試験への合格が条件となり、取得後も5年おきに更新する必要があります。
補聴器のフィッティングに関してプロである認定補聴器技能者に相談することで、適切に補聴器を使用できます。
補聴器を購入する流れ
まず、耳に不調がある場合は耳鼻科を受診してください。検査や治療を受け、補聴器が必要となった場合は、医師の紹介状をもって補聴器販売店に行きましょう。聴力検査や補聴器の試聴を重ねて、自分の聴力や生活スタイルに合った補聴器を選びます。
補聴器相談医の診断を受けることで、補聴器も医療費控除の対象になります。購入費用の一部が戻ってくるため、少しでも負担を減らすことができます。
また、補聴器の購入に関して助成を行っている場合もあるため、お住まいの市町村の事業も確認しましょう。
音響を追求するなら認定補聴器専門店へ
補聴器には、ハウリングや雑音を除去するための機能が備わっています。よりよい音響を追求するには高性能の補聴器を選ぶほか、細かい調整を重ねることが大切です。
補聴器を検討している場合は医師の診断を受け、認定補聴器専門店に相談しましょう。自分に合った補聴器の選び方やメンテナンスについては、認定補聴器技術者に相談してください。
【Q&A】
Q1:補聴器の購入費用はどのくらいですか?
A1:片耳分で10万円未満の補聴器もあれば、60万円以上のものもあるなど、補聴器のメーカーや機能によって差があります。販売店では予算も併せて相談しましょう。
Q2:左右で聴力の差がある場合でも補聴器は利用できますか?
A2:左右の補聴器をそれぞれ調整するため、聴力に差がある方でも利用できます。クロス補聴システムとよばれる、聞こえやすい方の耳に音を流す補聴器もあります。