ダイナミックレンジとは?補聴器との関係について解説!
「ダイナミックレンジ」という言葉を耳にしたことはありますか?ダイナミックレンジは、聞こえる音の範囲のことです。聴力の低下が進むほどダイナミックレンジは狭くなり、音による不快感を感じやすくなります。
この記事では、ファミリー補聴器店長の吉野がダイナミックレンジについて詳しく解説します。ダイナミックレンジを知り、補聴器の選び方の参考にしてください。
Contents
聞こえのダイナミックレンジとは?
ダイナミックレンジは、可聴範囲のことをいいます。つまり、聞こえる小さな音(HTL)から、うるさ過ぎて聞けない音(UCL)の範囲です。
健聴者が耳の不自由な方と会話する際に、聞こえやすい音量だと思い大きな声で話しかけると、不快感を与えてしまう場合があります。難聴が進むにつれて、ダイナミックレンジが狭くなってしまうためです。
ダイナミックレンジが狭くなると、快適に聞こえる音と不快に感じる音の大きさに差がなくなる傾向があり、周囲の方が配慮した音量に対して不快感を覚えることもあるのです。これは「補充現象」とよばれ、問題なく聞こえる音の範囲が健聴者よりも狭いため、少し音量が上がっただけで音が大きく聞こえ過ぎて不快に感じる可能性があります。
感音性難聴との関係
感音性難聴は、「感音器(内耳・聴神経など)」に障害が起こる難聴で、加齢・病気・騒音により引き起こされます。
感音性難聴の具体的な特徴は以下の3点です。
- 聞こえる音(周波数と音圧)の範囲が狭くなる
- 音がぼやけてハッキリと聞こえにくい
- 聞こえない成分が増え聞き間違えやすくなる
感音性難聴になるとダイナミックレンジが狭くなってしまうため、適切に調整されていない補聴器や集音器を装用すると、小さな音を十分に聞こえるように合わせると大きな音がうるさすぎたり、大きな音がうるさくないように合わせると小さな音が聞こえないということが起こり得ます。
補聴器専門店では、補聴器の調整を重ね、難聴者のダイナミックレンジに合わせていきます。そのため感音難聴の方には、「ノンリニア増幅」機能を持つ補聴器がおすすめです。
補聴器のノンリニア増幅機能には、以下のような特徴があります。
- 小さい音は適度に大きく音量を上げる
- 大きい音は適度に小さく音量を上げる
これにより、入ってきた音を聞き取りやすい音量に調節します。
補聴器との関係
補聴器とダイナミックレンジはどのような関係があるのでしょうか。
補聴器は、マイクで周囲の音を拾い、増幅器により音量を整えて、レシーバーにて音を届けています。機器によっては、雑音を抑えたり、特定の方向からの音のみを拾ったりできます。
会話の音を聞こえやすく調節でき、聞き取りやすい状態で受け取れるため、コミニュケーションを補いやすくなります。ノンリニア増幅の補聴器を選ぶと、不快な音量にならないよう調整できるからです。
ダイナミックレンジを意識して補聴器を選ぶ方法
補聴器を選ぶときは、ダイナミックレンジを意識して検討することが大切です。会話をするうえでも、快適な音量で聞こえる方がコミュニケーションも取りやすくなるためです。
しかし、ダイナミックレンジ以外にも注意すべきポイントがあります。具体的には、以下の点です。
- 聴力を確認する
- 使用環境に合わせる
- 予算を決める
また、フィッティングをして自分に合う補聴器を選ぶことも大切なため、必ず補聴器専門店で購入しましょう。
補聴器を選ぶポイントについて詳しく解説します。
1.聴力を確認する
補聴器を購入する際には、聴力に応じて選ぶことが重要です。聴力に合っていない補聴器を装着した場合、よい影響が出ず聴力を低下させる危険もあります。耳鼻咽喉科を受診し、聴力を検査してもらってから補聴器を購入すると安心です。
また、具体的にどういった音が聞こえにくいのかも知ると、よりフィットする補聴器を選べます。
2.使用環境に合わせる
補聴器を使用する方の環境に応じたものを選ぶことも大切です。例えば、家の中で過ごすことが多い場合、騒音に配慮する機能よりも、人との会話に配慮した機能の方が重要といえるでしょう。
補聴器を購入する際に、どういった場面で使うのを想定しているか、ライフスタイルなども合わせて相談しましょう。
3.予算を決める
補聴器には、機能や形状に応じて価格帯が幅広く設定されています。機能が多く搭載していれば、その分、費用も高くなってしまう可能性もあります。そのため、予算を提示したうえで補聴器を選ぶことも大切です。
聴力や使用状況に応じた補聴器を選ぶことが重要なため、高い価格の補聴器を選べばいいわけではありません。補聴器をつけたときにどういった生活を送りたいかをイメージして相談しましょう。
ダイナミックレンジに合う補聴器で快適な生活を送ろう
難聴の方は、ダイナミックレンジが狭くなってしまいます。そのため補聴器を使用し、聴力に合わせて聞こえの環境を整えることが大切です。
また、購入した補聴器も、使用を続けているうちに聞こえが変わってくる場合があります。そのため、定期的に調整をしてもらいましょう。調整をすると、自分のダイナミックレンジに合わせられるため、より快適に過ごせます。
Q&A
Q.ダイナミックレンジはどういう意味ですか?
A.ダイナミックレンジは、聞こえる範囲を示しています。健聴者と比較すると、難聴の方はダイナミックレンジが狭まるため、補聴器などを用いると快適に過ごせます。
Q.ダイナミックレンジと補聴器はどのような関係がありますか?
A.ダイナミックレンジに合わせて調整した補聴器を装着することで、周囲の音が聞き取りやすくなります。