耳の中から音がする原因は?考えられる疾病と治療法
ファミリー補聴器店長の吉野です。耳の中から音がするときは、どのような原因があるのでしょうか。今回は耳鳴りの原因について、内耳・中耳・外耳の異常をそれぞれ解説します。
ほかにも原因となる病気の治療法や、注意したい症状を紹介するので、耳鳴りに悩まされている方はぜひ参考にしてください。
Contents
耳の中から音がする原因は
飛行機に乗ったときや耳に水が入ったとき、大きな音を聞いたあとなど、一時的な耳鳴りは誰にでも起こる症状です。「ゴー」「ザー」「キーン」など耳の中から音がする原因は、次のものが考えられます。
- 内耳の異常:外リンパ瘻・難聴
- 中耳の異常:中耳炎・耳管開放症・耳管狭窄症
- 外耳の異常:外耳道異物・耳垢・水が入っている
内耳・中耳・外耳の異常に分け、原因となる病気を解説します。当てはまるものがないか確認しましょう。
【内耳】外リンパ瘻や難聴
「キーン」「ゴボゴボ」などの耳鳴りは外リンパ瘻や感音性難聴など、内耳の異常で起こっている可能性があります。
外リンパ瘻は、内耳を満たすリンパ液が中耳に漏れ出ることで、内耳の機能に支障が出た状態です。中耳圧や脳脊髄圧の上昇で起こり、飛行機での移動やダイビングなど気圧の変化、頭部の外傷が原因と考えられます。
感音性難聴は、突発性難聴や低音障害型感音難聴、メニエール病などの難聴で、内耳や脳に問題が生じ、音をうまく聞き取れないのが特徴です。加齢のほか騒音下での長時間労働、過労やストレスで起こります。
【中耳】中耳炎や耳管開放症
「ポコポコ」「バリバリ」といった耳鳴りは、中耳炎や耳管開放症、耳管狭窄症が原因だと考えられます。
慢性中耳炎は鼓膜に穴があき、細菌やウイルスによる炎症が起こる病気です。耳鳴り以外にも耳の聞こえにくさや痛み、発熱がみられます。
耳管開放症や耳管狭窄症は中耳とのどをつなぐ耳管の機能が悪くなり、気圧の調整ができなくなる病気です。
耳管開放症は耳管が開いたままの状態となり、自分の声が大きく響いたり、耳の聞こえにくさやめまいを感じたりします。
反対に耳管狭窄症は、風邪やアレルギー性鼻炎などで炎症が起こり、耳管が開きにくくなった状態です。耳が詰まったような感覚が起こります。
【外耳】耳垢や外耳道異物
耳垢や異物が外耳道につまって耳鳴りが起こることがあります。頭を動かすと「ガサガサ」音がするなど、何かが混入していると思われる場合は、耳鼻科を受診して取り除いてもらいましょう。子どもだとビー玉や石、おもちゃの小さいパーツ、大人でも昆虫などが混入している場合があります。
耳掃除で耳の中を清潔に保つことは大切ですが、もともと耳垢は自然に排出されるものです。耳垢を奥に押し込んだり、耳の中を傷つけたりして、聞こえに影響を与える恐れがあるため、耳掃除のしすぎには気をつけてください。耳かきは竹製のものを使って、耳の中を強く刺激しないようにしましょう。
ストレスや薬の副作用で音がする場合も
難聴と同じく、ストレスや疲れが耳鳴りにつながることもあります。休息や睡眠は十分に取り、無理をしないようにしましょう。ストレスや過労で交感神経と副交感神経のバランスが乱れると、肩こりや頭痛、動悸や不眠などの全身症状が起こりやすくなります。
また、鎮痛薬や解熱剤、抗精神病薬といった内服薬の副作用として、耳鳴りやめまいが生じることもあります。薬の副作用が強く出る場合は医師に相談してください。
耳の中から音がするときの治療法は
耳鼻咽喉科では問診後、必要に応じて標準純音聴力検査や耳鳴検査、鼓膜の検査・頭部MRIなどを行います。音がどこから発生しているのか、原因は何か耳鳴りの症状について調べます。現状だとすべての耳鳴りに対する薬はないため、原因となる病気の治療が中心です。
耳の病気にはステロイドや血管拡張薬、ビタミン剤などの投薬治療や補聴器の使用で対処します。カウンセリングでストレスによる耳鳴りの悪化を予防し、似た音や自然の音に意識を向けて耳鳴りの音に慣れる、TRT療法を行うこともあります。
ほかにこんな症状があるなら要注意
耳鳴りのほか、次のような症状がある場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
- 症状が長く続く
- 耳の聞こえが悪くなった
- めまいやふらつきがある
- 痛みや耳垂れがある
- 頭痛・しびれがある
突発性難聴やメニエール病など難聴のほか、脳梗塞や脳出血の前兆など早急な対処が必要な場合も考えられます。「シャー」「ドクドク」「ドコドコ」といった耳鳴りがある、加えてめまいや痛み、しびれがあるなど、耳鳴りが気になる場合は医療機関に相談してください。
耳の中からの音が気になる場合は受診を
耳の中から音がするのは加齢による耳の機能の低下以外に、内耳・中耳・外耳の異常、ストレスや内服の副作用である可能性が考えられます。
耳鳴り全般に効果的な薬はないため、原因となる病気を治療します。音響療法により耳鳴りの音に慣れることも治療の一つです。
耳鳴りに加えて、耳の聞こえにくさやめまい・ふらつき、頭痛やしびれなどがある場合は注意してください。脳卒中が原因で耳鳴りやめまいが起こっている可能性があります。
耳の中からする音が気になる場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
【Q&A】
Q1:耳の中でポコポコ音がするのはなぜですか?
A1:ポコポコ・パタパタと音がする耳鳴りは、耳管開放症や耳管狭窄症のおそれがあります。症状が気になる場合は医師に相談してください。
Q2:補聴器を使用すると耳鳴りはおさまりますか?
A2:補聴器を使うことでまわりの音が聞こえやすくなり、耳鳴りが気にならなくなるケースもあります。