ムンプス難聴とは？子どもだけじゃなく大人にも影響がある？

ファミリー補聴器店長の吉野です。今回は、ムンプス難聴について解説します。ムンプス難聴は、ムンプスウイルスが体内に入り、耳下や顎下の腫れや高熱を出す「おたふく風邪」で起こる難聴です。ムンプス難聴は片耳のみが聞こえにくくなるのが一般的な症状ですが、両耳が聞こえなくなる場合もあります。本記事では、ムンプス難聴について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

ムンプス難聴とは

ムンプス難聴は、おたふく風邪になった際に起こる難聴です。確率は低いものの、発症すると生活に支障が出たり、耳鳴りやめまいなどが起こったりする可能性があります。ムンプス難聴の原因となるムンプスウイルスが全身に回ると、髄膜炎や膵炎、睾丸炎、卵巣炎といった症状が起こる場合もあります。

ムンプス難聴について症状や治療方法、難聴になってしまったときの対処法について解説するので参考にしてください。

【症状】耳鳴りやめまいがある場合も

ムンプス難聴は、おたふく風邪の合併症として知られる難聴です。片耳の聞こえが悪くなることが一般的ですが、両側高度感音難聴を発症する場合もあります。

おたふく風邪による発熱、両側耳下腺腫脹のあと、18日以内に片耳が難聴になってしまうようです。難聴のほか、耳鳴りやめまいをともなう場合もあります。お子さんがおたふく風邪を発症した場合は、いつの間にか聴力を失っていたケースもあるため注意が必要です。

【治療】特効薬は開発されていない

ムンプス難聴に対する特効薬や有効的な治療方法はありません。そのため、一度発症すると生涯付き合わなくてはなりません。ステロイドを投与する治療方法もあるようですが、聴力の改善は期待できないため補聴器や人工内耳などを検討します。

おたふく風邪を発症する前であれば、ワクチンを打つことで対処できます。ムンプスワクチンでおたふく風邪の感染リスクを下げ、ムンプス難聴を予防できるため、未接種の方は早めの接種をご検討ください。

難聴になってしまったら？

もし、ムンプス難聴になってしまったらどうしたらよいのでしょうか。まず、片耳難聴だった場合に、聴力のあるもう片方の耳へ影響が起こらないように注意が必要です。また、中耳疾患や騒音被ばくといった症状などで、難聴の症状を悪化させないように気をつけましょう。

ムンプス難聴はおたふく風邪で起こる

ムンプス難聴は、おたふく風邪（流行性耳下腺炎）の原因であるムンプスウィルスが内耳へ感染することで起こります。一般的には、一側性高度感音難聴（または一側ろう）と呼ばれ、片耳のみの難聴です。

もし難聴になっている方で、先天性でない場合はムンプスによる高度感音難聴であるケースが多くあります。ムンプス難聴は、おたふく風邪患者の0.1～1％に起こり、年間では2,000人程度の方がかかっていると考えられています。

子どもや大人がおたふく風邪にかかったときの状態や対処法について解説するので参考にしてください。

子どもが発症したら…？

小学校低学年までに発症すると、環境音・音声が入ってこないため言語習得への影響が出てしまいます。また、聞こえが悪くなるとそれまで話せていたのに、急に言葉を話せなくなってしまう可能性があるため注意しましょう。

大人が発症したら…？

大人になっておたふく風邪を発症すると重症化しやすく、精巣炎・卵巣炎などを合併して不妊の原因になるため、ワクチンでの予防が必要です。おたふく風邪にかかってもすぐに気づかない場合があり、気づいたときにはムンプス難聴になっているといったケースもあるため注意してください。めまいや耳鳴りなどに悩まされ、日常生活にも支障が出てしまいます。

難聴のほか、合併症が複数あるためムンプスウイルスの感染には十分注意しましょう。

ムンプス難聴はワクチンで予防をしよう

おたふく風邪には、予防のためのワクチンがあります。お子さんは、1歳になったら受けるMR（麻しん風しん混合）ワクチンと同時に、できるだけ早い段階での接種が推奨されます。ムンプスワクチンは大人も受けられるため、早めの接種をご検討ください。ムンプス難聴が多く診断されるのは11～12月頃といわれています。その時期は特に注意して過ごしましょう。

万が一、ムンプス難聴になった場合は医療機関の診断を受け、補聴器を活用して聞こえを補うようにしてください。

【Q&A】

Q：ムンプス難聴は改善できませんか？

A：有効な治療方法がないため改善は難しいでしょう。両耳難聴となった場合、補聴器や人工内耳などを取り入れましょう。

Q：大人でもムンプス難聴になりますか？

A：大人の方でも発症する可能性があります。また、大人がムンプス難聴にかかると重症化しがちです。