コラム
難聴について

音響性外傷とは?症状の特徴や対処法について解説

ファミリー補聴器店長の吉野です。音響性外傷は、ライブやコンサートなどの大音量のある環境で発症する耳の疾患です。

一度発症すると、耳鳴りや聴覚過敏に悩まされて日常生活に支障をきたす可能性があります。音響性外傷にかかったら、耳鼻咽喉科で治療をしながら適切な対処をしていくことが大切です。

今回は、音響性外傷の症状や原因、対処法などについて解説します。音響性外傷について知識を得たい方は、ぜひ最後までご覧ください。

音響性外傷の特徴

音響性外傷は、大きな音に長時間さらされると発症する疾患です。音響性外傷の治療には、ビタミン剤や循環改善剤を使用する場合もあります。

この章では、音響性外傷の症状や原因、治療方法について解説します。

主な症状

大きな音にさらされて音響性外傷を発症すると、しばらく耳鳴りが続いて聞こえに支障をきたします。めまいや外耳の痛みをともなう場合もありますが、その際は一時的な症状で収まることがほとんどです。

違和感があれば早めの耳鼻咽喉科受診が必要です。

発症する原因

音響性外傷は、例えばコンサートやライブなどで、大きな音を長時間聞くことで発症するとされています。屋外に限らず、イヤホンやヘッドホンを通じて大きな音で音楽を聞くのも、音響性外傷の原因です。

大きな音により、耳の中にある有毛細胞に傷がついて、うまく脳に音が伝わりにくくなるため発症します。静かな環境で耳を落ち着かせないと、余計に悪化するため注意が必要です。

治療方法

音響性外傷は、主に薬物療法で治療を進めます。しかし音響性外傷が改善しても、人によっては耳鳴りが完全には治らない場合もあります。生活に支障をきたすこともあるため、治療後も経過観察が必要です。

難聴をともなっていなくても耳鳴りになる方もいますが、その医学的な根拠は明らかになっていません。聴力が戻っても耳鳴りが後遺症として残る場合は、引き続き耳鼻咽喉科で治療を受けましょう。

音響性外傷の後遺症

音響性外傷の症状が重いと、聴覚過敏や耳鳴りなどの後遺症が残る可能性もあります。その場合、あらためてかかりつけの耳鼻咽喉科を受診し、治療や経過観察が必要です。

この章では音響性外傷の後遺症として、聴覚過敏と耳鳴りについて解説します。

聴覚過敏

音響性外傷にかかると、聴覚過敏が発生する場合があります。聴覚過敏は、少しの物音に対しても過剰に反応してしまう症状です。聴覚過敏を発症すると、周囲のあらゆる物音に刺激を感じやすくなり、日常生活でも支障をきたします。

聴覚過敏は後遺症として発症すると治りにくいため、とても厄介な症状です。耳鼻咽喉科に通院して、薬物療法や音響療法、認知行動療法といった治療が必要です。

耳鳴り

音響性外傷が改善しても、人によっては耳鳴りが完全には治らない場合もあります。

耳鳴りの症状には個人差があり、自然治癒しにくい可能性もあります。聴力が戻っても耳鳴りが後遺症として残る場合は、引き続き耳鼻咽喉科で治療を受けましょう。

音響性外傷の対処法

音響性外傷にかかったら、次のような対処法をとりましょう。

  • ストレスを溜めない
  • 耳栓を使用する
  • 長時間の休息をとる

耳に負担をかけない過ごし方で、症状が落ち着く可能性があります。この章では、それぞれの対処法について解説します。

ストレスを溜めない

日々のストレスや疲労感は、音響性外傷の諸症状を強めてしまう恐れがあります。できるだけストレスを溜めないように、十分な入浴や睡眠時間を確保してリラックスするのも大切です。

大きな音のない環境で過ごしたり、静かに読書や運動をしたりといった習慣も必要です。特に運動をすれば、耳も含めて全身の血行がよくなります。無理のないように、趣味の時間を作ってストレスを発散させましょう。

耳栓を使用する

日常生活で大きな音にさらされやすい方は、適切に耳栓を使用することも重要です。耳栓によって、ある程度耳に入ってくる音量を調整できます。工事現場や人の多い場所など、大きな音が多い場面では、耳栓を装着しましょう。

耳栓には、安価で手に入るものや、ライブ用に音質が調整されたもの、耳の穴に合わせてオーダーメイドできるものなど、さまざまな種類があります。自分に合う耳栓を選ぶことが必要です。耳栓の装着に関して不明点があれば、担当医に相談するとよいでしょう。

長時間の休息をとる

大きな音のない場所で、長時間の休息をとることも症状改善には重要です。耳だけではなく、心身ともにリラックスさせる必要があります。

耳を安静にすることで症状の悪化を予防することができます。できる限り静かな環境に身をおいて、耳を休ませて音響性外傷を予防しましょう。

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音響性外傷には正しい対処を

音響性外傷は、大きな音によって耳の細胞が傷つき、耳鳴りなどの諸症状を引き起こします。耳鼻咽喉科では、症状改善のために抗生物質や鎮静剤を使用する場合があります。

大きな音に長時間さらされたあとには、しばらく耳を休ませることが重要です。それでも耳に違和感が残るようであれば、早急に耳鼻咽喉科を受診しましょう。

【Q&A】

Q1.音響性外傷の治療中は音楽を聴かない方がよいでしょうか?

A1.治療中でも音楽は聴けますが、大音量で聴かないようにしましょう。音を小さめにして、イヤホンやヘッドホンを使用せずに聴くのが推奨されます。

Q2.音響性外傷を予防したいのですが、耳栓をつけるのが苦手です。

A2.耳栓が苦手ならば、イヤーマフを使用しましょう。ヘッドホンの形をしていて、耳の中に何かを入れることなく防音ができる道具です。