老人性難聴はいつから?予防方法は?聞こえにくいと思ったら
加齢が原因で進行する難聴は老人性難聴とよばれます。老人性難聴は何歳から始まるのか、どうにかして予防できないか不安になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、老人性難聴の特徴や予防方法、聞こえにくいと感じたときにとるべき行動について詳しく解説します。聞こえに関して心配な方はぜひ参考にしてください。
Contents
老人性難聴の特徴
難聴の中でも、加齢のほかに原因が見当たらないものは老人性難聴や加齢性難聴と呼ばれます。
難聴は伝音性難聴、感音性難聴、混合性難聴に分けられますが、老人性難聴は感音性難聴にあたります。単純に音が聞こえなくなる伝音性難聴に比べ、感音性難聴は、音は聞こえても言葉の意味を感じ取れないといった症状が特徴です。
老人性難聴は一般的に40〜50代で始まります。難聴が進むにつれて、まわりの人とのコミュニケーションが取りにくくなり、人間関係に支障をきたす場合もあります。
引き続き、老人性難聴の特徴を4点紹介するので参考にしてください。
高い音が聞こえにくく感じる
加齢による難聴は高い周波数の音から聞こえにくくなる傾向にあります。電話の着信音や電化製品の音など、以前より聞こえにくくなったと感じた経験はありませんか。
自分では気づきにくい
一般的に聴力は20代~30代をピークとしてその後低下するといわれます。加齢とともに徐々に音が聞こえにくくなるため、自分では気づきにくい点が特徴です。家族やまわりの方に指摘されて、耳が聞こえにくくなったと気づく方が多くいます。
心理的負担につながることも
言葉の聞き取りが難しくなるため、まわりの人とのコミュニケーションがうまくいかず、精神的なストレスにつながるおそれがあります。
聞こえを回復させることは難しい
老人性難聴は有毛細胞とよばれる、内耳に存在し音を感じ取る細胞が損傷したり数が減ったりして進行します。有毛細胞は元に戻らないため、聴力の回復は困難です。
残っている聴力を維持できるよう、補聴器や人工内耳が用いられます。
老人性難聴を予防するために
難聴を予防するためにできる行動を紹介します。聴力維持のために耳によい生活を送りましょう。
大きな音を避ける
ライブハウスや工事現場など、大きな音が響く環境に長時間いるのは耳にとってよくありません。大きな音によって引き起こされる聴力障害は音響外傷や急性音響性難聴とよばれ、耳鳴りや聴力低下がみられます。
遮音用の耳栓(イヤープラグ)やイヤーマフを使用する、定期的に耳を休めるなど長時間大きな音が響かないように注意し、職場の場合は働きやすいよう環境の改善を求めましょう。
生活習慣病を予防する
動脈硬化で内耳や脳の血流が悪くなると、耳の聞こえにも悪影響を及ぼすので注意してください。糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病の予防が聴力の維持につながります。
定期的に健康診断を受けて、自分の体の状態を知っておきましょう。十分な睡眠や適度な運動、バランスのとれた食事といった規則正しい生活を心がけてください。生活習慣病予防にも、聴力維持のためにも喫煙や飲酒は控えましょう。
聞こえにくいと感じたら
聞こえに違和感を覚えたら、耳鼻咽頭科を受診しましょう。聴力は加齢とともに徐々に低下するため、聞こえにくくなった自覚がない場合もあります。1年に1回医療機関を受診するなど、定期的に聴力を調べてもらうと安心です。
耳鼻咽喉科を受診した際の検査内容と難聴への対処法、補聴器の利用について紹介します。
聴力検査の内容
耳鼻咽喉科では問診と聴力検査を受けます。問診で既往歴や自覚症状、困っていることなど現在の状態を医師に伝えてください。
聴力検査の中でも主に行われるのは、純音聴力検査と語音聴力検査です。純音聴力検査ではさまざまな高さや大きさの音を聞いて、音がどの程度聞こえるかを測定します。異常がある場合はどの部位に原因があるかを判断します。
語音聴力検査は「ア」「イ」といった語音を使って、言葉がきちんと聞き取れているかを調べます。加齢性難聴では音は聞こえても言葉として聞き取れない特徴があるため、語音聴力検査の結果も大切です。
難聴への対処法
外耳から中耳に原因がある伝音性難聴の場合は、薬物療法や手術などで聴力の回復が期待できます。
老人性難聴だと、損傷した内耳の有毛細胞は再生しないため、聴力の回復は困難です。医師の指示により、補聴器や人工内耳を利用します。
取り外しできる補聴器と異なり、人工内耳は耳の奥に受診装置を埋め込む外科手術が必要です。人工内耳はマイクから音を拾って電気信号に変換し、埋め込んだ電極で直接聴神経を刺激して脳に音を伝えます。
補聴器や人工内耳を早めに利用することで、認知症やコミュニケーション能力の低下予防が期待できます。
補聴器について
医師から必要と勧められた場合は補聴器を利用しましょう。調整・訓練など慣れるには時間がかかりますが、早めの利用で言葉の聞き取り能力の回復が期待できます。
補聴器の相談には認定補聴器専門店がおすすめです。知識が豊富な認定補聴器専門員が在籍しているので自分に合った補聴器を選べます。お近くの方はぜひファミリー補聴器をご利用ください。
老人性難聴の予防には生活の見直しと早めの受診を
この記事では、老人性難聴の特徴や予防、聞こえにくいと感じたときの行動について紹介しました。老人性難聴はただ聞こえにくいだけでなく、話を理解するのに時間がかかるなど認知機能にも影響を及ぼします。
聴力をできるだけ維持するよう、耳によい生活をこころがけ、定期的な検査を受けることが大切です。
Q&A
Q1.老人性難聴とほかの難聴との違いは何ですか
A1.突発的な難聴や薬の副作用、脳腫瘍などで起こる難聴と異なり、加齢のほかに原因を特定できないものを老人性難聴とよびます。
Q2.老人性難聴の予防として、何に気をつけたらいいですか
A2.大音量が流れる環境で長時間過ごさない、耳や脳の血流が悪くならないよう気をつけるなどが挙げられます。食事・運動・睡眠に気を遣い、規則正しい生活を送りましょう。