軽度難聴の程度や診断方法は?難聴による健康リスクと対処法も解説
今回は「家族の声が聞き取りにくくなった」「自分が軽度難聴に当てはまるかを知りたい」といった方に向けて、軽度難聴の程度やタイプ、医療機関での診断方法について解説します。
難聴は加齢により誰にでも起こるため、早い段階での対処が必要です。認知症やうつ症状など、難聴によって起こりやすい健康リスクと対処法も解説するのでぜひ参考にしてください。
Contents
軽度難聴によくある悩み
普段の生活のなかで、次のような悩みを抱えていませんか。
- 周囲の人の話を聞き返すことが増えた。
- 「キーン」「ジーン」といった耳鳴りがある。
- 音が重なって聞こえたり、こもったように聞こえたりする。
- インターホンや電話の呼び出し音など特定の音が聞き取れない。
- 話している内容がわからないまま、曖昧な返事をしてしまうことがある。
難聴が軽度のうちは大きな問題になりにくく、自分では気づかない場合も少なくありません。本人が気づいていなくても、ご家族が違和感に気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。
軽度難聴の聞こえ方は?
難聴は程度によって軽度・中等度・高度・重度の4つに分けられます。
難聴の分類
難聴の程度 | 平均聴力レベル | 生活上の不便な点 |
軽度難聴 | 25dB以上 40dB未満 | 会話が聞き取りにくくなったと感じるが、日常生活で大きな不便はない |
中等度難聴 | 40dB以上 70dB未満 | ボリュームを上げないとテレビの音が聞こえず、まわりの人の会話に入れないことが多い |
高度難聴 | 70dB以上 90dB未満 | 耳元で大きな声で話しかけてもらわないと理解できない |
重度難聴 | 90dB以上 | クラクションや工事の音など、大きな音しか聞き取れない |
軽度難聴は聴覚検査によって平均聴力レベルが25dB以上40dB未満の人にあてはまり、小さな音や騒音の中での音が聞こえにくいレベルです。通常の生活を送るのに大きな不便はないといわれます。
軽度難聴の種類
軽度難聴といっても、耳のどの部分に問題があるかによって聞こえにくさの種類が異なります。
難聴の種類と特徴
難聴の種類 | 機能障害がある部分 | 特徴 |
伝音性難聴 | 伝音器 (外耳・中耳) | ・外からの音を振動に変え、体内に伝える機能に問題がある ・小さな音が聞こえにくい ・補聴器や外科手術でカバーできる場合も |
感音性難聴 | 感音器 (内耳・聴神経など) | ・取り込んだ音を電気信号に変換し、脳に伝える機能に問題がある ・話している内容がわかりにくい ・聴きたい音が聴こえない |
混合性難聴 | 伝音器・感音器 | ・伝音性難聴・感音性難聴どちらの特徴もみられる |
加齢によって生じる難聴はおもに感音性難聴です。感音性難聴は耳の中にある有毛細胞の減少で進行するため、治療での聴力改善は難しいといわれています。
軽度難聴の診断方法
以下のような耳鼻咽喉科での検査で、難聴の種類や程度がわかり、軽度難聴と診断されます。
- 標準純音聴力検査
- 語音聴力検査
ほかにも音が聞こえている間だけスイッチを押す自記聴力検査や、眠っている間の脳波を分析する聴性脳幹反応検査などがあります。
標準純音聴力検査
一般的に聴力検査とよぶときは、標準純音聴力検査を指します。どのくらい小さな音まで聞こえるかを測定する検査です。防音室でヘッドホンをつけ、オージオメータとよばれる装置から流れるさまざまな周波数の音を聞き取ります。
語音聴力検査
語音聴力検査は「ア」「イ」などの語音を使って、言葉の聞き取りやすさを調べます。機能障害がある部位の判定や、補聴器を付けて聞こえがよくなるかをみるのが目的です。
外耳・中耳に機能障害がある伝音声難聴だと問題なく聞き取れますが、中耳・視神経に機能障害がある感音性難聴では、言葉の聞き取りが難しくなります。
軽度難聴の進行による健康リスク
軽度難聴で音が聞こえにくくなると、人とのコミュニケーションを避けるようになったり自信をなくしたりなど精神面にも影響があらわれます。聴覚の刺激は脳の老化防止に役立っているため、難聴によりうつ病や認知症のリスクが高まるといわれています。
聴力を維持するために
急性難聴の場合は治療で回復するケースもありますが、加齢による難聴は回復が難しいため、早めの対処で難聴の進行を遅らせましょう。
- 生活習慣の改善
- まわりの人の理解
- 補聴器の利用
- 人工内耳の利用
聴力を維持するための対処法を、1点ずつ詳しく解説します。
生活習慣の改善
聴力を維持するためには、生活習慣の見直しと改善が重要です。
- テレビなど電子機器の音量に気をつける。
- 騒がしい場所に長時間滞在しないようにし、耳を休ませる時間をつくる。
- 老化を予防するために栄養バランスのとれた食事や適度な運動を心がける。
- ストレスをためないよう睡眠時間を確保する。
- 交通量が多い道路を渡るときは十分に注意する。
大きな音を長時間聞かないようにして耳をいたわり、心と体の健康に気を遣いましょう。
まわりの人の理解
難聴が進行するとまわりの人との会話がめんどうになり、社会から孤立しがちになります。うまくコミュニケーションをとれるよう、次のような協力を求めましょう。
- どのような時に聞こえにくいか知ってもらう。
- 聞き取りやすい方の耳から話しかけてもらう。
- 単語ごとに区切りながらゆっくり話してもらう。
- 静かな場所で会話する。
- 筆談をする。
自分の症状を相手に理解してもらい、顔を合わせて会話を楽しんでください。
補聴器の利用
軽度難聴の場合は、医師の指示をもとに補聴器の利用を検討しましょう。加齢による難聴だと聴覚の改善は難しいですが、補聴器の利用で今ある聴力を十分に引き出し、難聴の進行を遅らせることが期待できます。
ただし音は聞こえても内容が聞き取れないなど、補聴器によって雑音が増える場合もあるため、難聴の程度に合った補聴器の利用が大切です。
人工内耳の利用
軽度や中等度の難聴では補聴器を使って聞こえ方をサポートしますが、高度難聴や重度難聴となると補聴器では対応が難しく、人工内耳が必要となる場合があります。
人工内耳は手術により耳の奥に受信装置を埋め込み、聴力を補助するしくみです。術後リハビリを行いますが、聞こえの回復には個人差があります。
聞こえづらいなと思ったら
難聴は加齢により誰にでも起こる症状です。日常生活で不便を感じたら早めに医療機関を受診してください。補聴器に関して相談したいときは、ぜひ青梅市の補聴器取扱店ファミリー補聴器へご来店ください。あなたに合った補聴器選びをサポートします。
よくある質問
Q.40代半ばですが、最近話し声が聞こえにくく感じます。加齢性難聴でしょうか。
A.程度に個人差はありますが、難聴は40代から進むといわれます。聞こえ方が気になる場合は一度耳鼻咽喉科を受診しましょう。
Q.医師から軽度難聴と診断されました。難聴の進行を遅らせるために何ができますか。
A.補聴器の検討と生活習慣の改善が大切です。耳を使いすぎないよう、騒がしい場所やテレビの音量には気をつけてください。老化予防のために食事や運動に気を遣い、睡眠をきちんと取りましょう。