妊娠中に耳鳴りはなぜ起こる?原因や対策について解説
ファミリー補聴器店長の吉野です。妊娠中には、耳管開放症やつわり、血行不良などによる耳鳴りが発症しやすくなります。いずれも適切な対処をすれば、個人差はありますが出産後には落ち着くとされています。
しかし耳の病気や高血圧症候群が潜んでいる可能性もあるため、耳鳴りの症状によっては耳鼻咽喉科の受診が必要です。
今回の記事では、妊娠中の耳鳴りの原因や対処方法についても解説します。妊娠中の耳鳴りを少しでも改善したいと考えている方は、ぜひご覧ください。
Contents
妊娠中に耳鳴りが起こる原因
妊娠中に耳鳴りが起こる原因としては、以下があげられます。
- 耳管開放症によるもの
- 血行不良によるもの
- つわりによる体重減少
特に妊娠中は、耳管開放症が起こりやすいのが特徴です。この章ではそれぞれの原因について解説します。
耳管開放症によるもの
妊娠中最も多いのが、耳管開放症で起こる耳鳴りです。ホルモンバランスの変化によって耳と鼻の奥をつなぐ耳管が開いたままになり、耳鳴りの症状が起こります。
のどから耳に空気が通るようになり、自分の声が届きやすくなるのが特徴です。つばを飲み込んだときに、バリバリといった音も聞こえます。
人によっては肩こりや頭痛、鼻水などをともないます。すぐに難聴になる可能性は少ないものの、注意して様子をみるのが大切です。
血行不良によるもの
妊娠中はお腹の赤ちゃんへ栄養を送るため、血行不良になりやすい時期です。妊婦さんによっては、貧血やめまい、耳鳴りを発症して生活に支障をきたす可能性もあります。
お腹の赤ちゃんの成長具合により、部分的に耳の血流が悪くなるパターンもあります。黄体ホルモンの分泌によって耳まわりの血行が悪くなり、耳鳴りの症状を引き起こすため注意が必要です。
つわりによる体重減少
妊娠中のつわりによって体重が減ると、耳管を囲む脂肪が減少して耳管を開閉しにくくなります。そのため耳管の調子が悪くなり、耳管開放症を引き起こしやすくなります。
そして全身の血行不良も見られると、さらに耳鳴りが悪化する場合があるので注意が必要です。血行不良のときは、耳鳴りだけではなく体調管理も十分に気をつけて生活をしましょう。
一般的に、耳管開放症による耳鳴りの症状は、出産後にはあまり時間をおかずに解消されます。ただし耳鳴りの症状には個人差があるため、経過観察が必要です。
注意したい耳鳴りのある病気の特徴
耳鳴りが収まらない場合、以下の病気が潜んでいる可能性もあります。
- 妊娠高血圧症候群
- 突発性難聴
妊娠高血圧症候群は、耳鳴りの有無にかかわらず妊婦さんがかかりやすいため、早めの受診が必要です。この章では、それぞれの病気について解説します。
妊娠高血圧症候群
耳鳴り以外に高血圧や頭痛、めまいをともなったら妊娠高血圧症候群の可能性があります。予防するには急激な体重増加や血圧の上昇に注意しながら、食事での塩分を控えめにしましょう。
妊娠高血圧症候群の治療では、医師から処方された薬を飲みながら安静に過ごすのが大切です。出産後には改善する場合もありますが、気になる方は早めに産婦人科を受診して医師の診察を受けましょう。
突発性難聴
ストレスやウイルス性感染、ホルモンバランスの変化によって突発性難聴が発症するケースもあります。2日以上の耳鳴りが続く場合は、難聴が疑われるので耳鼻咽喉科の受診が必要です。
耳鳴りを放置しておくと、生活に支障をきたすうえに治療が困難になってしまいます。難聴の進行具合によっては、補聴器を装着するよう医師から指示がでる場合もあります。
耳鳴りが日常生活に差し障るときは、早急に受診をしましょう。
妊娠中の耳鳴りの対処方法
妊娠中に耳鳴りが起きたら、下記の対策をしましょう。
- 体を温める
- ストレスをためない
体に負担がかかりやすい妊娠中は、無理のない生活習慣をつけることが大切です。この章では、それぞれの耳鳴り対策について解説します。
体を温める
妊娠中は、胎児に栄養を送るために、全身が貧血状態になる方もいます。妊婦さんによっては、耳の血流が悪くなって耳鳴りが生じやすくなります。
お腹の赤ちゃんが成長するにつれて、血行不良が起こりやすくなるため、入浴や着衣などで体を温めるのが大切です。日頃から体を温めて、血液循環をよくすれば耳鳴りの改善につながります。
カイロや湯たんぽなども、体を温めるのに便利です。
ストレスをためない
妊娠中は、ホルモンバランスの変化などによってストレスをためやすい時期です。できるだけ楽しめる趣味を見つけたり、適度な運動をしたりしてストレスをためない工夫が大切です。
また、日頃から睡眠や休息をしっかりとって、疲労やストレスの解消につなげましょう。
妊娠中の耳鳴りには適切な対処を
妊娠中の耳鳴りは、耳管開放症や血行不良が原因で起こる場合があります。
妊娠中は心身ともに負担が多い時期であるため、体を温めたりストレスを解消したりするなどの工夫が必要です。軽度の耳鳴りなら、生活習慣の改善やバランスのとれた食生活で対処が可能です。
耳鳴りが長引く場合は、耳管開放症以外の病気にかかっている可能性もあります。対策をとっても耳鳴りが解消できない状態であれば、早急に耳鼻咽喉科を受診しましょう。
【Q&A】
Q1.軽い耳鳴りであれば、出産後に自然消失しますか?
A1.個人差があり、出産後すぐに解消する方もいればそうでない方もいます。出産後も耳鳴りがあれば、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
Q2.妊娠中はストレス解消に運動をしても大丈夫ですか?
A2.体に負担がかかりすぎないように、軽めのウォーキングや体操をするのが耳鳴り対策に向いています。その日の体調に合わせて行ってください。