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コラム
補助金・助成制度

東京都が補聴器の購入を補助する「高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業」とは?

東京都は令和6年度より「高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業」を実施することを発表しました。障害者手帳の交付対象になれない高齢の難聴者に対する補聴器の購入費用の補助なども事業に盛り込まれているとのことです。この記事では「高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業」について現時点で分かっていることや、従来の「高齢社会対策区市町村包括補助事業」との違いを解説します。

高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業とは

高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業は東京都が実施する高齢者の介護予防の取り組みの一つです。加齢性難聴の高齢者のコミュニケーション機会確保を推進し、介護予防につなげるため、加齢性難聴の早期発見・早期対応に係る区市町村の取組を支援する事業です。

事業では以下の補助が予定されています。

・補聴器購入助成(補助率:1/2)
・普及啓発経費(補助率:10/10)

また、上記のほかに難聴の早期発見のための聴力検査の充実化に対する取り組みについても補助を行うようです。

補聴器購入助成制度について

高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業では、区市町村が高齢者を対象とした補聴器購入費助成制度を実施する場合、その費用の1/2を東京都が補助します。

令和5年度までも、都内の区市町村が補聴器購入費助成制度を実施する際は「高齢社会対策区市町村包括補助事業」によって費用の1/2の補助を受けることができました。この包括補助事業では高齢社会対策に係る様々な取り組みを補助しており、補聴器購入助成制度も対象として認められていました。令和6年度から、補聴器の購入助成は独立した新規の事業として補助が開始されます。

普及啓発について

高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業では、区市町村が加齢性難聴の高齢者のコミュニケーション機会確保の推進や介護予防に係る普及啓発を実施する場合、その費用の10/10を東京都が補助します。

難聴対策推進議員連盟が令和元年に発表した”Japan Hearing Vision”では、ライフサイクルに応じた難聴者支援を実現するための対策として、「成人期・高齢期の難聴に関する啓発」の強化が提言されています。近年、国が進めている難聴対策はJapan Hearing Visionを参考にしており、これによって難聴児の早期発見などの予算増加や制度の見直しが実現しております。

Japan Hearing Visionは日本の難聴対策の重要な指標の一つになりつつあります。

Japan Hearing Visionでは難聴対策をフレイル予防・認知症対策の一環として捉えており、以下のような取り組みの推進を目指しています。
・加齢性の難聴に関する十分な情報の提供
・早期に耳鼻咽喉科を受診することの重要性の啓発
・補聴器の適切な購入・利用等についての啓発

高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業における普及啓発の補助も、上述のJapan Hearing Visionの考え方に倣うのではないかと予想されます。

高齢社会対策区市町村包括補助事業との違い

令和6年度から始まる「高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業」は、区市町村が補聴器助成制度を行う際にその費用の1/2を補助するという点において、従来の「高齢社会対策区市町村包括補助事業」と同様の制度とも言えます。

この二つの事業の違いについて、それぞれの特徴をまとめました。

高齢社会対策区市町村包括補助事業の特徴は以下の通りです。

  • 地域の実情に応じた高齢社会の課題解決を目的としている
  • いくつかの指定された事業と、その他の独自の事業に対して補助を行う
  • 区市町村の補聴器購入助成制度は「その他」の事業として位置づけられている

高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業の特徴は以下の通りです。

  • 加齢性難聴の高齢者の介護予防のため、コミュニケーション機会の推進を目的としている
  • 加齢性難聴の早期発見・早期対応に係る区市町村の取組を支援する
  • 区市町村の補聴器購入助成制度が指定の事業として位置づけられている。

補聴器購入費の助成は、従来の事業では高齢社会対策の「その他」として位置づけられておりましたが、令和6年度からは明確に制度化された形となります。

高齢社会対策区市町村包括補助事業における補聴器助成の補助の考え方

高齢社会対策区市町村包括補助事業は、市区市町村が地域の実情に応じ、創意工夫を凝らして主体的に実施する福祉・保健・医療サービスの向上を目指す取組みを支援する事業のうち、高齢社会対策分野に関する事業の名称です。

令和5年度まで、区市町村による補聴器助成制度は、補助事業のうちに指定された項目ではなく「その他」の項目として個別に採択されていました。

すでに複数の区市町村が高齢社会対策区市町村包括補助事業によって補聴器購入費助成制度を運用している実態を踏まえると、高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業における補聴器補助についても、同様の基準で採択されることが想定されます。

2020年1月に東京都は、各区市町村高齢福祉主管課長に「高齢者への補聴器支給等に対する補助の考え方について」という事務連絡書を発出しており採択における基準を示しました。

文書の記載内容によれば、東京都が各区市町村の補聴器助成事業を採択するにあたり考慮した要件は以下の通りです。

  • 障害者総合支援法に基づく補装具としての補聴器の対象者を除くこと
  • 年齢制限、所得制限など、対象者が限定されていること
  • 管理医療器としての補聴器本体費用など、補助対象経費が明示されていること
  • 補聴器に詳しい耳鼻咽喉科医(補聴器相談医など)の診察及び聴力検査結果により、補聴器の必要性を確認していること
  • 補聴器購入前に区市町村が支給等の審査及び意思決定をしていること
  • 一人ひとりの聞こえ方に応じて補聴器の調整を受けられることが大切であり、販売店の選定等についても、区市町村が適切に関与することが望ましい

また、採択の対象外になる例は以下の通りと記載されています。

  • 高齢者が補聴器を購入後に、領収書等の提出により区市町村に購入費の補助を申請するもの
  • 診断を行う医師をを耳鼻咽喉科医等に限定していないもの
  • 聴力検査結果等の記載または添付を求めていないもの

高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業における補聴器補助については、上述の採択基準における対象者の限定について具体化される見込みで、65歳以上かつ非課税世帯に該当する方に対する助成制度に対して補助を行うようです。

補聴器購入費助成制度を実施する自治体は増える?

日本補聴器販売店協会の調べによると、令和5年12月1日時点において、東京都では全39区市町村のうち26の区市村で、高齢者を対象とした補聴器購入費助成制度(現物支給制度を含む)を実施しています。一方、13の区市町村では補聴器購入費助成制度を実施しておりません。

令和6年度から高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業が開始されることを受けて、新規に事業を開始する自治体は増えるか気になることでしょう。

補聴器購入費助成制度の実施自治体は増加傾向

東京都の区市町村における補聴器購入費助成制度の実施自治体は増加傾向にあります。既に令和6年度から新たに実施することを決定している自治体や、助成額を増加させることを決定している自治体もあります。

令和6年度以降も制度を導入する自治体は増えていくことが期待されます。

普及啓発の活発化が予想される

高齢者聞こえのコミュニケーション支援事業では、加齢性難聴の高齢者のコミュニケーション機会確保の推進や介護予防に係る普及啓発の補助も実施しております。

全国の自治体の中には、補聴器の助成制度を行っていたものの十分な効果が得られなかったことなどから制度を廃止したという事例もあります。補聴器の活用によって高齢者のコミュニケーション機会を確保するためには、補聴器が適正に処方された上で使用されなくてはなりません。安易に補聴器購入費用の助成を行うだけではなく、補聴器の使用によって得られる効果や、補聴器の購入や調整、購入後のメンテナンスの必要性などを十分に報せることも大きな課題と言えるでしょう。

補聴器の使用に関する事項に限らず、ヒアリングフレイル対策や予防、難聴の早期発見、難聴者への関わり方などの普及啓発活動は、高齢者のコミュニケーション機会の確保に際して特に有意義であると考えられます。

補聴器購入費用助成事業の補助率が1/2であることに対して普及啓発に関する補助率が10/10と金額面で充実していることから、普及啓発は補聴器購入費用の助成制度を実現させることよりも優先的に取り組むべき課題として位置づけていることが推察されます。

令和6年度以降は、普及啓発事業に注力する区市町村は急増することが予想されます。

Q&A

Q.東京都の高齢者は誰でも補聴器購入費の助成を受けられる?

A.いいえ。補聴器購入費用の助成を受けられるのは、助成制度を実施する区市町村ごとに定められた対象者に限ります。詳細は各自治体の窓口に確認してください。

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